視野の端がかすむ、少し欠けている気がする——老眼かな、と思いながらも、なんとなく気になっていませんか。この症状は「緑内障」のサインかもしれません。緑内障は自覚症状がほぼないまま進行し、日本人の失明原因の第1位を占める病気です。原因・症状・検査・治療法を、中野島・登戸ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックがわかりやすく解説します。
中野島・登戸ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
緑内障とは

緑内障は、視神経が徐々に傷んでいくことで視野が狭くなる病気です。
目の中には「房水」と呼ばれる液体が循環しており、この流れが滞ると眼圧(目の内側の圧力)が高まります。眼圧が上昇すると視神経への血流が妨げられ、神経細胞が少しずつ失われていきます。失われた視神経は元に戻りません。
最大の特徴は、初期段階ではほぼ自覚症状がないことです。視野の欠けは周辺部から始まるため、反対の目が無意識に補ってしまい、かなり進行するまで気づかないケースが少なくありません。自覚してから受診したときには、すでに中期以降に進行していることもあります。だからこそ、定期的な眼科検診が重要です。
緑内障について知っておきたい重要な事実

緑内障について、まず知っておいていただきたい重要な事実が3つあります。
① 日本人の失明原因で最も多い疾患です
緑内障は、国内の失明原因の第1位を長年にわたり占めています。視神経の障害は不可逆的であり、進行を止められても失われた視野は回復しません。
② 40歳以上の約20人に1人が罹患しているとされています
多治見スタディ(日本眼科学会が主導した大規模疫学調査)によると、40歳以上の有病率は約5.0%と報告されています。多くの方が自覚なく罹患しているのが実態です。
③ 自覚症状がほぼないまま進行します
視野の欠損は周辺部から始まり、脳が映像を補完するため気づきにくい状態が続きます。「見えにくい」と感じたときには、すでに進行しているケースが多くあります。定期的な眼科受診が早期発見への近道です。
緑内障の症状と見え方

緑内障は「気づかないうちに進行する病気」です。「見えにくい気がする」「視野の端が欠けている」と感じてから受診される方もいますが、実際には初期段階で自覚症状はほぼありません。
以下に当てはまる方は、一度眼科でご確認されることをお勧めします。
- 視野の端(特に鼻側)がぼんやりしている気がする
- 片目を閉じたとき、左右で見え方が違う
- 健診の眼圧測定で「やや高め」と言われたことがある
- 視野検査で「要再検査」と指摘された
- 視界の一部に薄暗い部分を感じることがある
- 電灯や光の周りにぼんやりとした輪が見える(急性発作の場合)
ただし、緑内障の初期では上記の症状がまったく出ないことも多くあります。「症状がないから大丈夫」と判断せず、40歳を過ぎたら定期的な眼底・視野検査を受けることが重要です。
初期段階の主な症状
緑内障の初期段階では、ほとんどの方が自覚症状を感じません。
視野の欠損は、鼻側や周辺部のごく小さな範囲から始まります。この段階では、もう一方の目が視野を補完するため、日常生活で「見えない」と気づくことは非常にまれです。眼底検査や視野検査を受けて初めて発見されるケースがほとんどです。
初期に発見できれば、点眼薬(目薬)による眼圧コントロールで進行を十分に抑えられることが多く、視機能を長く保つことが期待できます。だからこそ、自覚症状がない段階での検診が大切です。
中期~末期の主な症状
中期になると、視野の欠損範囲が少しずつ広がってきます。
片目だけでは気づきにくいものの、両目で見ても視界の一部に違和感を覚えるようになります。段差を踏み外す、読書中に文字が飛ぶ、といったことが起こり始めます。
末期では、視野の欠損が中心部にまで及びます。日常生活への影響が明確になり、自動車の運転が困難になったり、細かい文字が読みづらくなったりします。この段階まで進行すると、治療で失った視野を取り戻すことはできません。
緑内障は進行を「止める」または「遅らせる」ことが治療のゴールです。早期のうちに発見し、治療を継続することが、視機能を守る最善の方法です。少しでも気になる症状があれば、早めの受診をご検討ください。
緑内障の種類

緑内障はいくつかのタイプに分類されます。全体の約9割を占めるのが「原発緑内障」で、目の構造上の問題や加齢などが主な原因です。残りの約1割は、他の眼疾患や全身疾患・薬剤の影響によって起こる「続発緑内障」です。
原発緑内障の主な種類
開放隅角緑内障
房水の出口(隅角)は開いているものの、排出経路のフィルター部分が詰まって眼圧が上昇するタイプです。眼圧の状態によって、さらに2つに分けられます。
- 眼圧が高いタイプ:房水の排出が悪くなり、眼圧が上昇して視神経が障害されます
- 正常眼圧緑内障:眼圧が統計的な正常範囲(10〜21mmHg)内にもかかわらず、視神経が障害されるタイプです。日本人の緑内障患者の多くはこのタイプとされています。「眼圧が正常だから大丈夫」とは言い切れないのが緑内障の難しさであり、眼底やOCT検査を含む総合的な評価が欠かせません。
いずれも自覚症状が出にくく、ゆっくりと進行する点は共通しています。
閉塞隅角緑内障
隅角そのものが狭くなり、房水が流れにくくなるタイプ。急性発作を起こすと急激な眼圧上昇・激しい頭痛・吐き気が現れることがあります。
続発緑内障の主な種類
ステロイド緑内障
ステロイド薬(点眼・内服・軟膏)の長期使用により眼圧が上昇するタイプ
落屑(らくせつ)緑内障
水晶体や虹彩の表面に白い物質が剥がれ落ち、排出口に詰まって眼圧が上昇するタイプ
血管新生緑内障
糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などで新生血管が排出口を塞ぐタイプ。進行が速いため早期対応が重要です
緑内障になりやすい人の特徴

緑内障は誰でも発症するリスクがある病気ですが、以下の特徴に当てはまる方は特に注意が必要です。
- 40歳以上:加齢とともに有病率が高まります
- 近視(特に強度近視):眼軸が長く、視神経が圧力を受けやすい構造です
- 眼圧がやや高めと言われたことがある
- 家族に緑内障の方がいる:遺伝的な関連が指摘されています
- 糖尿病・高血圧・血行不良がある
- ステロイド薬(点眼・内服)を長期使用している
- 過去に眼のケガや手術を受けたことがある
一つでも当てはまる方は、自覚症状がなくても眼科での精密検査を受けることをお勧めします。早期発見が、長く視機能を守ることに直結します。
緑内障の検査について

緑内障の診断には複数の検査を組み合わせて行います。一つの検査だけでなく、視野・視神経・眼圧を総合的に評価することが正確な診断につながります。当院では必要な検査を院内で完結できる体制を整えています。
視野検査
視野検査は、視野の欠損範囲や程度を調べるための検査です。
検査中は一方の目を片手で覆い、点滅する光が見えたらボタンを押す動作を繰り返します。所要時間は片眼あたり5〜10分程度で、痛みや目への負担はありません。集中力を必要とする検査のため、「疲れてしまってうまくできなかった」というご経験をお持ちの方もいらっしゃいます。当院では患者様のペースに合わせて進めていますので、どうぞご安心ください。
検査結果は数値やグラフで表示され、経過観察の際にも同じ検査を繰り返すことで、進行しているかどうかの比較ができます。緑内障の診断・治療効果の判定・進行評価において、欠かすことのできない検査です。
OCT検査
OCT(光干渉断層計)は、光を使って網膜や視神経の断面を非接触・非侵襲でスキャンする検査です。
最大の特徴は、視野検査で異常が検出される前の段階から、視神経線維層の菲薄化(薄くなった部分)を捉えられることです。緑内障では視神経が傷む→視野が欠ける、という順番で進行しますが、OCTはその「視野が欠ける手前」の変化を可視化します。
検査自体は数分で完了し、目に触れることなく行えます。定期的にOCT画像を記録・比較することで、わずかな変化も見逃さない経過観察が可能になります。健診で「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘された方にとって、特に有用な検査です。
眼底検査・眼圧測定
眼底検査では、瞳孔を通して眼底(網膜・視神経乳頭・血管)の状態を直接確認します。
精密な観察が必要な場合は「散瞳薬」を点眼して瞳孔を開きます。散瞳後は光がまぶしく感じられ、近くが見えにくい状態が3〜4時間ほど続くため、当日の車・バイクの運転はお控えください。公共交通機関またはご家族の送迎での来院をお願いしています。
眼圧測定は、目の表面に軽く空気を吹き付けて圧力を測る方法が一般的で、痛みはほとんどありません。所要時間は数分程度です。眼圧は緑内障の重要な指標ですが、正常範囲でも緑内障になることがあるため、他の検査と組み合わせて総合的に判断します。
緑内障の治療方法

「緑内障と診断されたら、どんな治療をするのか」は多くの患者様が抱かれる疑問です。現在の緑内障治療は、眼圧を下げることで視神経へのダメージを抑え、進行を遅らせることを目的としています。治療の段階は、点眼薬→レーザー治療→手術の順に検討していくのが一般的です。
①点眼薬(目薬)による治療
緑内障治療の基本は、点眼薬(目薬)による眼圧コントロールです。
点眼薬には、目の中で作られる房水の量を減らすタイプ(房水産生抑制薬)や、房水の流れ出しを促すタイプ(流出促進薬)など、作用の異なる種類があります。1日1回または複数回点眼するものがあり、症状や眼圧の状態に応じて種類や本数を調整します。
重要なのは、「調子がいいから」とやめてしまわないことです。緑内障は自覚症状が出にくい病気であるため、点眼を続けている間は症状が安定しているように感じても、中断すると眼圧が上昇し、進行が再び速まります。長期間にわたって継続することが、視機能を守る鍵です。点眼の方法や副作用のご不安は、診察時にご遠慮なくご相談ください。
②レーザー治療(SLT)
SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)は、点眼薬だけでは眼圧が十分に下がらない場合、または点眼の継続が難しい場合に選択肢となるレーザー治療です。
房水の排出口にあたる「線維柱帯」という組織に低エネルギーのレーザーを照射し、房水の流れを改善することで眼圧を下げます。周囲の組織へのダメージを最小限に抑えた治療設計となっており、外来で日帰り治療が可能です。所要時間は片眼10〜15分程度で、局所麻酔(点眼麻酔)のみで行います。
効果の持続期間には個人差があり、一般的に数年程度とされています。効果が薄れた場合は再照射が可能なケースもありますが、すべての方に適応できるわけではありません。また、緑内障の種類(閉塞隅角タイプなど)によっては適応外となることもあります。治療の適否は診察・検査の結果をもとに医師が判断しますので、詳しくはご相談ください。
③手術による治療
点眼薬や内服でも十分な効果が得られない場合、外科的治療が検討されます。
代表的な手術は、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)です。眼の中の水(房水)が排出される新たな通路を作り、眼圧を下げることを目的とします。そのほか、詰まった線維柱帯を切開する線維柱帯切開術(トラベクロトミー)も選択肢の一つです。
当院では、緑内障の経過観察・点眼治療を中心に対応しております。手術が必要と判断した場合は、連携する専門医療機関へ速やかにご紹介いたします。「手術まで必要かどうかわからない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
緑内障の予防・定期検診について

緑内障は、早期に発見するほど視野への影響を最小限に抑えやすい病気です。自覚症状が出てからでは、すでに進行しているケースも少なくありません。
40歳を過ぎたら、年に1回の眼科検診を習慣にすることをお勧めします。自覚症状がなくても、眼底検査や眼圧測定で変化を早期に捉えられます。家族に緑内障の方がいる場合は、より積極的な受診が大切です。
生活習慣の面では、バランスのよい食事・適度な有酸素運動・禁煙・十分な睡眠が眼の健康維持に役立つとされています。過度なストレスや極端な生活の乱れは、眼圧変動にも影響する可能性があります。
緑内障と診断されても、適切な治療を続けることで、多くの方が視野を長く保てています。定期検診を怠らず、早めに受診することが、最善の予防策です。
当院の緑内障治療の特徴

中野島・登戸ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックでは、緑内障の早期発見から継続的な経過管理まで、地域の皆様に寄り添った診療を行っています。
視野検査・眼底検査・OCT(光干渉断層計)による精密な評価を院内で実施し、一人ひとりの病状に合わせた治療方針をご提案します。「何か気になる」という段階から、お気軽にご相談いただける環境を整えています。
転院・セカンドオピニオンのご相談も歓迎
「今の病院の治療が自分に合っているか不安」「一度しっかり検査を受け直したい」そのようなお気持ちを抱えている方も、遠慮なくご来院ください。
当院では、紹介状がなくてもセカンドオピニオン・転院のご相談を受け付けています。現在の治療を続けながら受診していただくことも可能です。途中で治療を変えることへの不安も、診察の中で丁寧にご説明します。
中野島駅・登戸駅から通いやすい立地にあり、仕事帰りや買い物のついでにも受診しやすい環境です。長く通える「かかりつけ眼科」として、安心して相談できるクリニックを目指しています。
まとめ
緑内障は自覚症状に乏しく、気づかないうちに進行する病気です。しかし、早期発見・適切な治療によって、視野を長く守ることが十分に可能です。
「健診で緑内障疑いと言われた」「視野が気になる」と感じたら、まず眼科への受診をご検討ください。中野島・登戸ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックは、地域の皆様の視機能を守るために、丁寧な診療を続けてまいります。
よくあるご質問
緑内障に関して、患者様からよくいただくご質問をまとめました。受診前の疑問解消にお役立てください。
健診で緑内障疑いと言われましたが、症状はありません。受診すべきですか?
緑内障の初期段階では、ほとんどの方に自覚症状がありません。視野の欠けを感じるようになった頃には、すでにある程度進行していることが多いのが実情です。
健診での眼底写真は、あくまでスクリーニングです。緑内障の確定診断には、視野検査・眼圧測定・OCTなどを組み合わせた精密検査が必要です。「疑い」の段階こそ、専門的な検査を受ける大切なタイミングです。症状がなくても、ぜひ一度ご受診ください。
精密検査にはどのくらい時間がかかりますか?
緑内障の初期段階では、ほとんどの方に自覚症状がありません。視野の欠けを感じるようになった頃には、すでにある程度進行していることが多いのが実情です。
健診での眼底写真は、あくまでスクリーニングです。緑内障の確定診断には、視野検査・眼圧測定・OCTなどを組み合わせた精密検査が必要です。「疑い」の段階こそ、専門的な検査を受ける大切なタイミングです。症状がなくても、ぜひ一度ご受診ください。
緑内障と診断されたら、一生治療を続けなければなりませんか?
現時点では、失われた視野を取り戻す治療法はなく、完全に「治る」病気ではありません。ただし、適切な治療を継続することで、進行を大幅に遅らせることが可能です。
多くの方は点眼薬による治療から始まり、定期的な検査で経過を確認しながら管理します。長期にわたって視野を安定させている方も多くいらっしゃいます。「一生付き合う病気」であっても、焦らず根気強く向き合うことで、日常生活への影響を最小限にできます。まずはご相談ください。
本ページは、以下の診療ガイドラインおよび公的情報を参考に、一般の方にもわかりやすい表現で作成しています。
- 日本眼科学会 緑内障診療ガイドライン|https://www.nichigan.or.jp
- 日本眼科学会・日本眼科医会 多治見スタディ(緑内障有病率疫学調査)|https://www.nichigan.or.jp
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「緑内障」|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
- 日本緑内障学会 緑内障の種類について|https://www.ryokunaisho.jp
- 日本緑内障学会 治療について|https://www.ryokunaisho.jp
- 日本緑内障学会 レーザー治療について|https://www.ryokunaisho.jp
- 日本緑内障学会 緑内障診療ガイドライン(第5版)
- 日本緑内障学会 一般向け情報
記事の執筆・監修者プロフィール
理事長 小林 一博
- 日本眼科学会認定専門医
- 難病指定医
- 視覚障害者用補装具適合判定医師
- ボトックス認定医
- ICL(眼内コンタクトレンズ)認定医
中野島・登戸ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。